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安心で創る 新たな体験価値

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vol.

08

西日本旅客鉄道株式会社
鉄道本部 CS戦略部 CS推進室
課長

渡壁 なぎさ氏

西日本旅客鉄道株式会社
鉄道本部 CS戦略部 CS推進室
課長代理

新杉 敏章氏

西日本旅客鉄道株式会社
鉄道本部 CS戦略部 CS推進室

岡本 光弘氏

株式会社JR西日本ITソリューションズ
鉄道ソリューション本部 鉄道情報ソリューション部
開発保全Iグループ アプリケーションシニアスペシャリスト

髙橋 泰樹氏

株式会社JR西日本ITソリューションズ
鉄道ソリューション本部 鉄道情報ソリューション部
開発保全Iグループ アプリケーションスペシャリスト

西田 智彦氏

多様化するサービス水準に応えるシステム刷新。モダナイズの推進で実現した体験価値の向上。

異常時情報提供システム(運行情報入力サイト、JR西日本列車運行情報サイト)

Story of IDEA

モビリティ業をはじめ、流通業、不動産業、旅行・地域ソリューション業など幅広く事業を展開している西日本旅客鉄道株式会社(以下、JR西日本)。鉄道における北陸・近畿・中国エリアおよび北陸新幹線、山陽新幹線の列車遅延などの障害発生時に、運行情報を提供する「異常時情報提供システム」を刷新しました。 フェンリルは、システム刷新におけるクラウド移行、開発、UX/UIデザインを担当。鉄道・モビリティ分野の実績を生かしながら、システムに関わる業務の全工程の開発を支援しました。 指揮をとるJR西日本、JR西日本のITインフラの構築・運用を担う株式会社JR西日本ITソリューションズ(以下、J-WITS)、そしてフェンリルの3社で共創した本プロジェクト。多岐にわたる課題を解決しながら、より良い形へと導いていったチームの日々を振り返っていただきました。

プロジェクトへの思い

THEME 01

プロジェクトへの思い

お客様の要望に応えるため よりスピード感のあるシステムへ。
───まずは「異常時情報提供システム」の役割について伺えますか?

渡壁

(JR西日本)

JR西日本の列車の運行情報をお知らせする公式サイトをはじめ、駅や車内のディスプレイなどで、情報を発信する際に使われるシステムです。列車が動いているか止まっているかという情報は、お客様にとって「その場で待つか」「その他の交通手段を利用するのか」など、次の行動を判断していただく上で重要な要素となると思っています。そうしたお客様との接点となる情報を発信するこのシステムは、弊社にとって重要なシステムだと捉えています。

───2008年の稼働から15年、システム刷新のきっかけは何だったのでしょうか?

新杉

(JR西日本)

システムの老朽取替のタイミングだったこともありますが、それをきっかけにして、お客様からいただくご要望にお応えしたいという思いがありました。
たとえば「特急列車で目的地まで行く際に、経由地の乗り継ぎ列車が正常に動いているかを知りたい」というような。また、通勤や通学で日々ご利用いただくお客様だけではなく、ご旅行などで土地勘がない路線を利用いただくお客様もいらっしゃいます。さまざまな状況下で遅延が発生した際に、画面を見てすぐに状況が分かるようにしてほしいという声もございました。

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(左から)JR西日本 新杉氏/岡本氏/渡壁氏|J-WITS 髙橋氏/西田氏

───そうした声に応えるにあたって、現場の課題となっていたことはありますか?

新杉

(JR西日本)

指令員からは、「少しでも早くお客様に情報をお届けしたいが、システムの入力操作が複雑」という声があがっていました。たとえば特急列車の遅延情報は、「新大阪を何時に出る列車が、何分遅れてるのか」など、1本ずつ調べて入力していたんです。ダイヤが乱れているときはさまざまな業務を同時に対応していくのですが、その中での地道な作業に負担を感じているという現場の課題はありました。

───老朽取替にあたるシステムの更新だけではなく、UX/UIの刷新やクラウド移行など、現代的なアップデートの実施にあたって意識されていたことはありますか?

渡壁

(JR西日本)

弊社で実施しているお客様への満足度調査を通して、列車遅延時の情報提供は、お客様にとって弊社との重要な接点だと感じてくださっていることが分かりました。お客様の価値観や求められるサービス水準は、多様化かつ高度化していますが、列車遅延情報の提供を通してお客様の体験価値を高め、より使いやすいサービスにすることを目指しました。情報発信する際も、指令員が情報をいかにスピーディーに提供できるかという視点を意識して取り組みたいと考えていました。

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───プロジェクトを進めるにあたって、社内での反応はいかがでしたか?

渡壁

(JR西日本)

お客様起点でシステムの機能を高めていくという点においては、反対意見はありませんでした。せっかく作っていくものなので良いものを、というポジティブな印象だったと思います。セキュリティやシステム関係でいうと、J-WITS側ではどうでしたか?

髙橋

(J-WITS)

将来を見据えた開発・運用コストの最適化と、お客様への提供価値の最大化の実現を目指し、モダナイズ推進の一環としてクラウド化を行いました。
単純にクラウド化するだけでもコストはかかるので、ベンダーと共にどのようにプロジェクトを進めていくのかが、まず一つの山であり課題となっていました。

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───そうした課題をどのようにクリアにしていったのでしょうか

髙橋

(J-WITS)

「どういった開発・運用コストがかかるのか」ということに対して、JR西日本側、フェンリルさんと協議しながら段階を踏んで進めていきました。要件定義も膨大でしたので、3社で密に会話をしながら課題を見える化していったという認識です。

───本プロジェクトにおけるそれぞれの役割、JR西日本とJ-WITS両社の関係性についてお聞かせいただけますか

岡本

(JR西日本)

我々3名(岡本、渡壁、新杉)は、JR西日本のCS戦略部・CS推進室に属しています。普段は、お客様の満足度調査などを元にした施策の検討や、顧客体験の改善、提供サービスの品質向上などに取り組んでおります。
本プロジェクトにおいては、異常時情報提供システムの責任部門、および設備のオーナーを務めています。よりお客様のニーズを満たせるようなシステムに進化させるため、課題の発見から解決策の検討までをしていく立場です。

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髙橋

(J-WITS)

我々J-WITS(髙橋、西田)はシステム部門のパートナーとして、システムの企画、開発、保守・運用を担っています。本プロジェクトにおいては、システムオーナーであるJR西日本のご担当者のニーズを理解し、最適な解決策を提供するために尽力しています。

チームで目指したこと

THEME 02

チームで目指したこと

徹底した議論で築いた 3社共創のプロジェクト。
───システムのモダナイズ推進という観点において、ベンダー選定で最も重視した点を伺えますか

渡壁

(JR西日本)

私たちは「お客様のご期待にお応えする」という志のもと、日々さまざまなことに向き合っています。まずはそこに対する共感と、私たちと共に「お客様の体験価値を高める」ということに全力で取り組んでいただけるパートナーを探していました。
フェンリルさんはすでに提供している「列車走行位置サービス」を通して、そこを実現いただけると分かっていましたので、本プロジェクトでもお願いすることになりました。

髙橋

(J-WITS)

フェンリルさんにお願いした決め手は、J-WITSの観点からは3つあります。
1つ目は渡壁さんが話されたように、「列車走行位置サービス」などのこれまでの "実績"です。2つ目はシステムを作って終わりとするのではなく、その後の運用やエンハンスまで安定的に供給できているという"信頼"です。3つ目は"熱意"です。大きなシステムであるにもかかわらず、熱意を持って我々にご提案いただきました。「このメンバーで最後までやり遂げます」とおっしゃっていただくなど、そうした強い思いが伝わったのが決め手ですね。

───「共創」という形で進めてきた本プロジェクトにおいて、印象に残っているフェンリルからのご提案やエピソードなどをお聞かせいただけますか

渡壁

(JR西日本)

構想段階を含めると開発に2年ほどかかっているのですが、来る日も来る日も「顧客ニーズは何か」「求める価値はどのようなことか」を時間をかけて議論しました。
たとえば、カスタマージャーニーマップを描いていただきながら、「このタイミングでのお客様の気持ちはどのようなものか」というように。当初の期限を超えて、徹底的に議論したことは、今も強く記憶に残っています。先ほど髙橋さんが話されていた"熱意"というのは私も感じていました。

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渡壁

(JR西日本)

タイトなスケジュールのなかで、議論が明確に進むようにフェンリルさん側で調整いただいたことも大きいです。たとえば前日に議論した内容であっても、翌日には具体的な案とともに次の議論に進める一手を出してくださるような。私たちの志に寄りそいながら、仕事に向き合う姿勢というのも見せていただいたのかなと思っています。

───長期にわたるプロジェクトですが、3社共創でのチームの強みというのはどのような部分だと感じていらっしゃいますか?

渡壁

(JR西日本)

まず「お客様のご期待にお応えしたい」という熱い思いを全員が持ちながら議論を交わせたというところが、このチームの強みではないでしょうか。このチームだったからこそ、膨大な要件定義があるなかで、期日通りにリリースできたと思っています。フェンリルさんがシステムをデザイン、J-WITS側がシステム構築、JR西日本側は運用の整備と、それぞれの役割を認識しながらきっちり進めていったところが最大の要因だと思います。

新杉

(JR西日本)

私と岡本はプロジェクトの途中からの参加でした。岡本は弊社の中でもシステム系の仕事をしてきたのですが、私の方は今回のプロジェクトにおいては知識が十分ではない部分もありました。ただ、指令の現場を経験しているので、課題解決に向けてリアルな運用という視点でカバーし、メンバーそれぞれの強みを持ち寄った議論ができたと感じています。

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───JR西日本のサービス、システムの運用などについて、フェンリルが知見不足だった部分をJ-WITS側のサポートをいただきながら進めていました。双方との関係づくりという面で意識されていたことはありますか?

西田

(J-WITS)

現行システムがなぜそうなってるか、なぜこういう機能になっているのか、その理由も含めてお伝えすることは強く意識していました。システム上の運用だけではなく、個人の知見や現場での使われ方を共有することも心掛けていました。
また、提案に際してフェンリルさんから事前にJ-WITSにご相談いただく場合には、JR西日本側のシステム仕様や考え方などをお伝えしたうえで、提案を再提出いただくこともありました。フェンリルさんの提案をJR西日本側がより深く理解できるようなサポートというか、ちょうど間に立つJ-WITSが双方の橋渡し役になれるように。ということを意識して進めていました。

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岡本

(JR西日本)

先ほど新杉から話があったように、私と新杉は途中から参加しました。すでにプロジェクトが大きく進展しており、キャッチアップするハードルが高いと感じることもありました。
そうした中で、プロジェクトとは別に打ち合わせを実施してもらったり、オンライン上で相談しやすい環境を整えてもらったりと、J-WITSの皆さんに手厚くサポートしてもらいました。オフィスが近いこともあって、対面での打ち合わせにも柔軟に対応してもらえました。そうした円滑なコミュニケーションを重ねられたことが、プロジェクト成功の要因の1つではないでしょうか。

今後の展望

THEME 03

今後の展望

あらゆるタッチポイントで さらなる体験価値の向上へ。
───リリース後のお客様の反応や、指令側の業務変化などを伺えますか

新杉

(JR西日本)

お客様の視点で言うと、特急列車の運行画面から、直接乗り継ぎ列車の運行状況を確認できるようになった点を評価いただいています。また、ご覧になりたい日の運行情報をすぐに確認できる点でも、使いやすさと分かりやすさを実感していただいているのかなと。

渡壁

(JR西日本)

路線図の表示についても、JR西日本全エリアに拡大しました。それによって、初めて訪れた場所でも、その路線図を見て、自分が今いる場所と、これから向かう先の運行状況が確認いただけるようになりました。やはり、絵で見ていただける効果は非常に高いです。 これらは、フェンリルさんのお力が本当に大きかったと感じています。

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JR西日本列車運行情報サイト

新杉

(JR西日本)

指令の現場では、やはりシステム入力時の操作性において、プレゼンスが高いと思っています。また、特急列車の遅延情報についても、システム側が自動で情報を取得して反映してくれるので、手作業が減ったというのは大きな成果ではないでしょうか。

───異常時情報提供システムの今後の展望、JR西日本として目指す将来的なビジョンについてお聞かせください

髙橋

(J-WITS)

システムは作って終わりではなく、この先いかに安定稼働を続けていくかが重要です。また、JR西日本の運行情報の伝達には、極めて高い正確性、迅速性が求められます。だからこそ、日々の運用やエンハンスにおいても、 常に安定稼働への意識を高く持ち続けていきたいです。

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渡壁

(JR西日本)

お客様が求められるサービスの水準は、これからさらに多様化し、変化していくと思います。そうしたご期待に引き続きお応えしていくという思いを持って取り組みたいです。そのためにも、3社のリレーションをより強化して、支援していただきたいです。列車遅延時の情報提供によってお客様の体験価値を高めていくということはもちろんですが、このシステムにとどまらず、あらゆるタッチポイントで、JR西日本を評価いただけるよう邁進していきます。

COLUMN Design with Tech

プロダクト開発の「壁」を融かす─── 開発とデザインが共創する、「越境」開発術

プロジェクト概要

プロダクト開発の現場において、多くのチームが直面する「見えない壁」があります。デザイン側が描く「理想のユーザー体験(デザイン)」と、開発側が提示する「現実のシステム制約」です。 そして、膨大な要件定義と緻密なシステム構造が交錯するプロジェクトにおいては、期日や予算などの現実的な制約と、ユーザーにとっての妥協なきクオリティという理想の狭間で葛藤が生まれます。 「異常時情報提供システム」のように、大規模かつ難易度の高いプロジェクトも例外ではありませんでした。 チームが同じ方向を向き、品質に妥協することなく成功へと導くために。フェンリルでは「越境」という姿勢を大切にしています。

手戻りを防ぐ、フェーズごとのアプローチ

プロジェクトの進め方として、デザイン側が画面や仕様をある程度まとめた段階で開発側に受け渡す「一括のフィジビリティ確認」という方法があります。

何事もなく通過できれば効率の良い方法といえますが、想定以上の実装コストがかかるなどの課題が見つかることも多々あります。その場合、課題が見つかった時点である程度の日数が経っているために、調整にかかるインパクトは大きくなり、後工程を圧迫するなどのリスクがつきまといます。

こうした状況をつくらないため、フェンリルでは、画面単位の受け渡しではなく、前段階の「細かい機能単位」で開発に相談するアプローチを推進しています。

  • アイデア段階でのコミュニケーション: 機能のアイデアが生まれた初期段階で開発側に「こういうことが可能か」というライトな相談をします。
  • 迅速な方針転換: 開発側から「今の構成だと厳しい」というフィードバックを早い段階で得ることで、デザイン側も即座に方針転換が可能になります。
  • 代替案の共創: デザイナーの本質的な意図を共有しておくことで、エンジニア側からも「こうすれば実現できる」という開発観点での代替提案を出しやすくなります。

一見するとコミュニケーションのコストが増えるようにも思えますが、事前に機能的なリスクや課題を早い段階で摘み取ることができます。双方がアイデアをぶつけ合うことで、「より良い機能はどうあるべきか」という議論、作業が随時できるようになります。結果として、プロジェクトの遅延防止やプロダクトの品質向上に直結していくのです。

「チームの一員として」クライアントと本気で向き合う

フェンリルの考える「越境」は、社内のデザインと開発の関係に留まりません。本当の意味での越境は、クライアントを「発注者」ではなく、同じゴールに向かって走る「チームの一員(パートナー)」として向き合うことであると考えています。

構想段階から長い期間をかけ、「顧客ニーズは何か」「求める価値はどのようなことか」をクライアントとともに徹底的に議論し合います。システム的な制約や現実的な落としどころを探る中で、未来を決定づけるのは常に、クライアントが抱く「強い思い」です。

「異常時情報提供システム」のプロジェクトにおいても、「お客様の体験価値を高める」という強い思いのもと、関係性を超えた「越境」を体現することができました。

「ユーザーのためにこの機能は必ず入れたい」「現場の負担を少しでも減らしてスピーディーに価値を届けたい」。そんな熱い想いを全員が共有し、ビジネスにおける受注・発注という関係を超えて一つのチームとして並走します。だからこそ、長期にわたるタフな議論も、最高の結果へと結実させることができるのです。

「越境」の先にある、本当の「安心感」を目指して

チームメンバーのスキルや知見がどれほど高くても、それがバラバラに発揮されては意味がありません。プロジェクトの初期段階から立場を越えて熱い思いをぶつけ合い、並走することが重要です。

「越境」がもたらす成果は、手戻りを最小化することによる「コスト」の削減や、リリースまでの「スピード」の向上、プロダクトの「品質」の最大化という、目に見える形となって表れます。

しかし、私たちが最も大切にしているのは、それらの成果の中心にある「安心感」という付加価値です。「このチームに任せれば、どんな困難や想定外の事態があっても、必ず最適な答えを導き出してくれる」というような。

現場のリアルな葛藤や泥臭い課題も隠さずに共有し、共に悩み抜くプロセスがあるからこそ、クライアントに本当の意味での「安心感」を持っていただくことができると、私たちは確信しています。

不確実で変化の激しい現代だからこそ。フェンリルはこれからも単なる分業の枠を飛び越え、ビジネスを共に加速させる共同開発パートナーとして、クライアントの志にどこまでも寄り添い続けます。

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